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Google スプレッドシートに、考える数式が加わりました。セルに=AI()と入力し、ふだんの言葉で指示を書き、いくつかのセルを指定すると、Geminiが答えを埋めてくれます。要約、分類、感情のラベル、メールの下書き、さらにはGoogle検索から引いた事実まで。スプレッドシート漬けの個人事業主にとって、Googleがここしばらくで出したAI機能のなかでいちばん実用的で、同時にいちばん使い方を誤りやすい機能でもあります。
このレビューでは、AI関数でできること、向いている人、うまくこなせる5つの実務、苦手なところ、そして費用を取り上げます。
AI関数とは何か
Google公式のヘルプページによると、構文はシンプルです。=AI(“プロンプト”, [範囲(省略可)])。=Gemini()と入力しても同じ働きをします。プロンプトは指示、範囲は読み取ってほしいセルです。
Googleが挙げている用途は次の5つです。
- テキストの生成:返信やキャッチコピーなど、行ごとに合わせた文章を作ります。
- 要約:長いメモやフィードバックを1行にまとめます。
- 分類:項目を自分で決めたグループに振り分けます。
- 感情分析:文章をポジティブ、ネガティブ、ニュートラルに分類します。
- リアルタイム情報の取得:Google検索から情報を引き、確認できる「ソース」リンクも付きます。
意外に思われるポイントがひとつあります。この数式は勝手には動きません。セルを選び、生成して挿入をクリックします。結果はセルに書き込まれ、その編集は変更履歴上あなたの操作として記録されます。良い設計です。知らないうちに何かが変わることはありません。
データが表になっている場合は、右にAI列を挿入というオプションもあり、1行目に数式を入れて残りの列を一気に埋められます。
誰に関係があるか
AI関数がまっすぐ狙っているのは、すでにスプレッドシートで事業を管理している人です。顧客リスト、注文記録、アンケート結果、書き出したレビュー、見込み客の管理表など。あなたがそうなら、スプレッドシートとチャットボットの間でのコピー&ペーストという作業がまるごと不要になります。
記録を会計ソフトやCRM(顧客や商談を管理する顧客関係管理ソフト)で持っている場合は、先にスプレッドシートへ書き出さない限り、恩恵は小さくなります。数式を一度も使ったことがない人は、大事なデータに使う前に、10行ほどのテスト用シートから始めてください。
ひとり社長の仕事でうまくこなせる5つのこと
1. 散らかった受信トレイの書き出しを仕分ける
お客さまのメールをC列に貼り付け、Googleの例文の形を使います。=AI(“顧客からの問い合わせを、お褒めの言葉、交換の依頼、返品の依頼のいずれかに分類してください。”, C2)。分類は「見積もり依頼、苦情、日程調整、迷惑メール」など自分用に置き換えましょう。これで種類ごとに絞り込み、売上につながるメールから先に返信できます。
2. レビューをひと目で把握する
GoogleやEtsyのレビューをシートに書き出し、感情分析の列を追加します。さらに2つ目の列を足します。=AI(“このお客さまが具体的に気に入った点、または不満だった点を12語以内で。”, B2)。50件のレビューが、続けるべきことと直すべきことの一覧に変わります。
3. 個別のフォローアップをまとめて下書きする
Googleの例には、ペットシッターの事業向けに、ペットの前回の滞在の様子を飼い主向けにまとめるものがあります。同じ考え方はどんなサービスにも使えます。A列からC列に顧客名、サービス内容、メモを入れて、=AI(“このお客さま向けに、サービス内容とメモの一点に触れた2文のお礼メッセージを書いてください。”, A2:C2)を試してみてください。送信は引き続き自分で行いますが、白紙ではなく下書きから始められます。
4. 見込み客リストを整える
見込み客の役職欄には「オーナー/ceo/創業者笑」や「マーケ課長」のような表記が並びがちです。=AI(“この役職名を標準的な表記に直し、4語以内にしてください。”, D2)という列を作れば整理でき、差し込み印刷の文面がだらしなく見えずに済みます。
5. 公開情報を補う(ただし慎重に)
この関数はGoogle検索にアクセスできるので、取引先の所在地や会場の収容人数などを調べられます。ウェブから得た答えを信じる前に、必ず「ソース」リンクを開いてください。理由はAIのハルシネーション入門ガイドで説明しています。AIが自信たっぷりに述べるものの、実はでっち上げた答えのことです。
Googleが明記している制限
Googleのヘルプページは、この関数にできないことについて珍しいほど率直です。小さな事業にとって特に大事なのは次の点です。
- 渡したものしか見えません。スプレッドシート全体やドライブ内の他のファイルは読めません。範囲を省略すると、プロンプトだけを頼りに動きます。
- 一度に生成されるのは、選択したAIセルのうち最初の350個までです。それより大きいリストは分けて処理します。
- 1日あたりの上限があります。長期の上限に達すると、24時間ほど待つ必要があります。
- 元に戻せません。再生成はできますが、前の答えには戻れないので、残したいものはコピーしておきましょう。
- 他の数式の中には入れられません。たとえばAIの呼び出しをIFで囲む使い方には対応していません。
- データが変わっても自動で更新されるとは限りません。プロンプトが参照するセルが後で変わった場合、自分で「更新して挿入」をクリックする必要があるかもしれません。
実務上の結論はこうです。AI列は最終回答ではなく、一次処理として扱いましょう。1,000行に手を打つ前に、10行を抜き取って確認してください。
費用
この関数を使うには、Geminiを含む対象のGoogle Workspaceプラン、またはGoogle AIプランが必要です。GoogleはGoogle Workspace Experimentsというテストプログラムを通じて一部のアカウントにも提供しています。プランや含まれるAIの利用上限はよく変わるので、ブログの数字(この記事も含めて)を信じるより、自分の管理コンソールやGoogle Oneのページを確認してください。すでに仕事用メールのためにWorkspaceを払っているなら、追加料金なしで使える可能性が高いでしょう。
AI機能のためにプランを上げる価値があるか迷っているなら、AIクレジットと利用上限についてのガイドで予算の立て方を解説しています。
ほかの方法との比較
上の5つの作業は、行をChatGPTやClaudeにコピーしても行えます。違いは手間です。AI関数なら答えがデータのすぐ隣、同じ行に入り、そのまま並べ替えや絞り込みができます。単発の質問ならチャットボットで十分です。毎週何十行にも繰り返す作業なら、列のほうが勝ちます。
新しいフォームが届いた瞬間にタグを付けるなど、自動で動かしたい作業には、スプレッドシートの数式は向いていません。そこは自動化プラットフォームの領分で、Zapier、Make、n8nの比較記事で取り上げています。
結論
事業がGoogle スプレッドシートで回っていて、すでにWorkspaceを払っているなら、今日オンにしましょう。まずはレビューの感情分析かメールの仕分けから。どちらもリスクが低く、数分で効果が出ます。お客さまに届くものには必ず人の目を通し、ウェブから取ったセルは、ソースを開いて確かめるまで見積書や請求書に入れないでください。
最初のAI列には何を入れますか?コメントであなたのプロンプトを教えてください。



